よんでいる日

読書の感想とか

2016-06-01から1ヶ月間の記事一覧

切実さは離れて見ると申し訳ないけどおもしろい(『腰痛探検家』高野秀行)

そのままずばりな内容の本である。この本は腰痛の探検家の本であり、そして腰痛を探検する本である。 著者は「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをして、それを面白おかしく書く。 をモットーに執筆活動をつづける辺境作家」であるそうだ。実際に…

個人的に感じる感情とのつきあい方

たとえば自分の心とは思い通りにならない他人のようなものですとか、不快な感情はセンサーのようなものだという考え方がある。そうだなと思う。 そうした見方もあることを知れば、自分の主観的な感情からすこし距離を置いて考えることができるようになる。あ…

自分にとってとあなたにとっての差について考える人へ(『八月の六日間』北村薫)

いつの間にやら駄目になっていることに気づいてびっくりするものはたくさんあります。生命を育む土壌と化した炊飯ジャーのなかのごはんとか、季節が何周回っても流行することはないなこれとある日ふと気づくお気に入りだったはずのわけのわからない形状のシ…

人生の途中のぼんやりとした終わり(『日の名残り』カズオ・イシグロ)

いつも通りの時間に起きて決められた仕事をこなし、顔ぶれがだいたい一緒の電車に帰宅するため乗り込む。 餃子でも食べようかななどと考えながらいつもの吊革につかまり、窓ガラスにうつる自分の顔が老け込んだことにたまに驚く。 そして昔のああだこうだを…

私や俺とか君などのかんせいの過程(『バグる脳』ディーン・ブオノマーノ)

ここ百年くらいでとてつもない早さで科学が進歩し、生活が豊かな方向へと劇的に変化していったが、我々ニンゲンのつくりは数千年前となんら変わっておらず、いろいろな危険があった原始時代用にチューニングされている脳のさまざまな機能がいまとなってはも…

安直な自己啓発に違和感があるひとへ(『孤独の科学』ジョン・T・カシオポ、ウィリアム・パトリック)

孤独感という主観的な感情を軸にひとについて語ろうとしている本である。とてもおもしろい。 まず孤独感はなぜ感じるのか?といったことがひとはそもそも社会的な生物であり、集団からはじき出されると生きていくことが難しかったから、仲間はずれにされたと…