私や俺とか君などのかんせいの過程(『バグる脳』ディーン・ブオノマーノ)
ここ百年くらいでとてつもない早さで科学が進歩し、生活が豊かな方向へと劇的に変化していったが、我々ニンゲンのつくりは数千年前となんら変わっておらず、いろいろな危険があった原始時代用にチューニングされている脳のさまざまな機能がいまとなってはもろもろの問題を生む原因となっている。みたいな感じの本である。おもしろかった。
まず脳というものがどういった装置でどういうふうに働くのかということが説明され、そのあとに記憶や時間感覚、恐怖ってなんなのという細々としたことについて丁寧な説明がなされていく。後半では宗教やマーケティングについても語られる。
おもしろかった。そして安心した。やっぱ俺(の脳)まあまあバカなんだ! と思えたからである。
なぜそんなことを思ったかというと、俺の脳の限界をある程度知ることができたからだ。自分の駄目さを脳に押しつけるのはかっこうわるいと我ながら思うが、でも脳には向いていることと向いていないことがあり、そして個人差も大きいことをしっかりと知ることができた。それは俺にとってはなんとなくほっとすることだ。
脳の効率的な使い方のような実用的な本ももちろん大切だけど、脳ってすごくない部分もたくさんあるんだぜということをおもしろおかしく(しかもすごい量のデータを使って)書いてある非実用的な本も同じくらい大切だと思う。
後者の方が役に立つ場面って多いと個人的には感じるし。
とにかくおもしろい本だった。脳はけっこう頭が悪いっていいフレーズだと思う。