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読書の感想とか

縁と絆(よしながふみ『愛すべき娘たち』)

 よしながふみの『愛すべき娘たち』を読んだ。おもしろかった。

 

 「娘」という言葉の関係性を考えさせられた。「私の娘」とか「あなたの娘」とか「彼の娘」とか「このひとはあのひとの娘」とか、○○のという言葉が暗に娘という言葉にはついている。もちろん「この小娘め!」みたいに未成熟な女性を非難したいときに使われる場合もあるけど、それはどちらかというと特殊な使い方で、やはり上記の関係を表す意味が「娘」という言葉の一般的な使われ方だろう。つまりすべての女は誰かの娘であるといえる。あたりまえだけど。

 

 その娘たちの、親との関係が、友人との関係が、祖父との関係が、他人との関係が、この漫画では描かれている。

 

 そしてその関係性が、あるひとを自立させたり、その逆に縛ったりする。絆はそのひとが帰ってくる場所にもなるが、そのひとをそこから動けなくさせる鎖になったりする。

 

 ひととの関係ってむずかしくておもしろいと思う。おもしろい本だった。