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よんでいる日

読書の感想とか

日々雑感(『ジャージの二人』長嶋 有)

ほかに好きな人がいる妻との不和を抱えたまま、父と山奥にあるぼろい別荘に避暑へ来た男の話です。 男は妻への嫉妬や恨みをときおり感じつつ、ある意味では不便な生活を送ります。いちいち風呂を沸かすための薪を割ったり、そういう都会に住んでいればやる必…

内向と外交の邂逅が拮抗(『青空の卵』、『子羊の巣』、『動物園の鳥』、坂木 司)

この三冊はいわゆる日常の謎というジャンルに分類されるミステリー小説だ。人が死んだりはせず、誰かが深刻に傷つけられるということもほとんどない。日常で接する人がいつもとは違う行動をとるようになった。その理由はなんだろうということを解き明かして…

自分にとってとあなたにとっての差について考える人へ(『八月の六日間』北村薫)

いつの間にやら駄目になっていることに気づいてびっくりするものはたくさんあります。生命を育む土壌と化した炊飯ジャーのなかのごはんとか、季節が何周回っても流行することはないなこれとある日ふと気づくお気に入りだったはずのわけのわからない形状のシ…

人生の途中のぼんやりとした終わり(『日の名残り』カズオ・イシグロ)

いつも通りの時間に起きて決められた仕事をこなし、顔ぶれがだいたい一緒の電車に帰宅するため乗り込む。 餃子でも食べようかななどと考えながらいつもの吊革につかまり、窓ガラスにうつる自分の顔が老け込んだことにたまに驚く。 そして昔のああだこうだを…

概念としての関西人が小説を語ると(『ラブレス』桜木紫乃)

めっちゃおもしろい本読んでしもたからちょっと以下にちょこちょこ書いとく。この記事は関西弁っぽい文で書くから堪忍や。 『ラブレス』っちゅうタイトルは跳躍すると「愛のない」という意味に日本語ではなる。つまりこの小説は愛について書かれているという…

自意識との向き合い方(ジョーン・G・ロビンソン『思い出のマーニー』)

自意識とどういうふうにつきあっていけばいいのか、という態度を決めることは思春期においてとても重要なことである。自意識が過剰になると他人にどう見られるかということが気になってうまく行動ができなくなるし、逆に自意識がなさ過ぎると自分がされて嫌…

現実を物語にすること(ピエール・ルメートル『悲しみのイレーヌ』)

『悲しみのイレーヌ』を読んだ。この小説はとてもおもしろい。そしてとても悪趣味だ。 異常な連続殺人事件を追う刑事たちの様子がユーモラスに描かれたミステリー、というふうにこの小説はまとめることができる。でもそれだけじゃなくて、俺はカウンセリング…