よんでいる日

読書の感想とか

ノンフィクション

生と死のグラデーション(『医師は最善を尽くしているか』アトゥール・ガワンデ)

たとえば医療は手洗いだったりする。病院内で起きる感染は、手洗いが徹底されていないから起きる場合もあるというエピソードが最初に語られる。そして手洗いを徹底することがいかに難しいかということも。 この本の作者は医師である。だから医師から見た医療…

切実さは離れて見ると申し訳ないけどおもしろい(『腰痛探検家』高野秀行)

そのままずばりな内容の本である。この本は腰痛の探検家の本であり、そして腰痛を探検する本である。 著者は「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをして、それを面白おかしく書く。 をモットーに執筆活動をつづける辺境作家」であるそうだ。実際に…

いつのまにかすりへっていたなにかについて(『アメリカン・スナイパー』クリス・カイル)

話す内容はふたつに分けることができる。現実の出来事(昨日のテレビ番組、隣の猫が消えた、会社のおおきな取引が終了した、友人のおもしろいくせ)と、それに対する自分の感想(おもしろかった、心配である、ちょう疲れたけどおれすごくね、そういうとこが…

脳のなかの物語(『妻を帽子とまちがえた男』オリヴァー・サックス)

オリヴァー・サックス『妻を帽子とまちがえた男』を読んだ。この本は神経医でもある著者があらわしたエッセイ集である。脳の一部が機能不全を起こした患者たちについて書かれた本であり、タイトルもひとりの患者のエピソードがもとになっている。 そうしたエ…

ミランダ・ジュライ『あなたを選んでくれるもの』を読んだ日

ミランダ・ジュライが書いたノンフィクション『あなたを選んでくれるもの』を読んだ。おもしろかった。しかしなにがおもしろかったのかということを言葉にするのは難しい本だった。ということでそれをつらつらと考えながら書いていく。 作者が追い詰められて…